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ローマ字の書き方が変わった点と、いま直すべきかの判断

2025年12月の内閣告示でローマ字のつづり方が約70年ぶりに改定されました。表が1つになったこと、書き方が変わる18のつづり、ヘボン式をそのまま採らなかった理由、そして自分の表記をいま直すべきかの判断材料をまとめます。

公開読了目安 約4分

この記事の要点

  • 2025年12月22日に内閣告示が改定され旧告示は廃止された
  • 第1表と第2表という二段構えが無くなり本表1つになった
  • 書き方が変わるのは対照表の22行のうち18行
  • ヘボン式そのままではなく撥音は常に n と書く
  • いま使っている表記の変更は求められていない
目次

2025年12月22日、ローマ字のつづり方を定める内閣告示が約70年ぶりに改定されました。いちばん大きな変化は、表が2つあったものが1つになったことです。そして各分野で使われてきた表記を、いますぐ変えるようにとは求められていません。

変わったのは「表が2つあった」ことのほう

改定前の告示(1954年)は、訓令式を第1表、いわゆるヘボン式などを第2表として並べていました。同じ「し」に si と shi という2つの書き方が並んでいたわけです。

どちらを使うべきかが決めにくい状態が長く続きました。改定後の告示にはこの区別がありません。本表が1つあるだけです。

本表に採られたのは shi・tsu・chi・fu・ji といった、社会で実際に使われているつづりです。これらは旧告示の第2表に載っていたものです。

書き方が変わるのは22行のうち18行

告示には「(付)対照表」が添えられています。本表のつづりと、旧告示の第1表・第2表のつづりを並べた表です。ここに22行が載っています。

このうち、本表と旧第1表でつづりが違うのは18行です。内訳は次のとおりです。

種類仮名本表旧第1表
清音シ・チ・ツ・フshi・chi・tsu・fusi・ti・tu・hu
濁音ジ・ヂjizi
拗音シャ〜ショsha・shu・shosya・syu・syo
拗音チャ〜チョcha・chu・chotya・tyu・tyo
拗音ジャ〜ジョ、ヂャ〜ヂョja・ju・jozya・zyu・zyo

残りの4行は、旧第1表でも本表と同じ書き方でした。「ヲ」は o、「ヅ」は zu、「カ」は ka、「ガ」は ga です。

これらの行が対照表に載っているのは、旧第2表が wo・du・kwa・gwa と書き分けていたからです。kwa と gwa は歴史的仮名遣いの「くわ」「ぐわ」専用でした。

ヘボン式をそのまま採ったわけではない

「ヘボン式に変わった」と説明されることがありますが、正確ではありません。ヘボン式と呼ばれる書き方の中には、告示が採らなかったものがあります。

いちばん目立つのが「ん」です。ヘボン式では b・m・p の前で m と書くことがあります。東京メトロの駅名標にある Nihombashi や Shimbashi がその形です。

告示の本表では、撥音の「ン」はすべて n です。新橋は Shinbashi、欄間は ranma になります。「ch」の前の促音を t と書く matcha も採られず、maccha になります。

長音は2通りの書き方が認められた

もう1つの大きな変化が、伸ばす音の書き方です。母音の上に符号を付ける Tōhoku に加えて、母音字を並べる Touhoku が認められました。

母音字を並べるときは、かなで書いた形をそのまま1文字ずつ置き換えます。「とうほく」なら touhoku、「おおかみ」なら ookami です。

文化庁のQ&Aによれば、一般的なのは符号を付けるほうです。ただしイ列長音と、エ列長音のうち「い」を添えるものは例外です。shiitake や Heisei のように母音字を並べるのが一般的とされています。

いま自分の表記を直すべきか

告示の添え書き8は、各分野で使われてきた表記を7語挙げています。告示のつづりと並べると次のようになります。

各分野で使われてきた表記告示のつづり
judo(柔道)jūdō / juudou
Tokyo(東京)Tōkyō / Toukyou
Ohtawara(大田原)Ōtawara / Ootawara
Shimbashi(新橋)Shinbashi
ramma(欄間)ranma
tempura(天ぷら)tenpura
matcha(抹茶)maccha

それでも告示は、これらを直ちに変えるようには求めていません。

文化庁のQ&Aは、将来のある時点で統一を求めるものでもない、と説明しています。急な変更は混乱と予定外の負担を生むためです。

判断の目安は次のようになります。

  • すでに使っている表記(看板・名刺・システムの登録名)は、そのままでよい
  • 表記の決まりをこれから作る・見直すなら、告示を参考にする
  • その分野に取り決めがあるなら、所管する部署の判断が優先される

名前の綴りは当事者が決める

告示の添え書き9には、姓名や団体名を書き表すときは当事者の意思を尊重するようにと書かれています。長く使われてきた Ohtawara や Mazda のような綴りは、その典型です。

つまり「正しいローマ字」を他人が当てはめる話ではありません。本人がどう名乗ってきたかが先にあります。

社内資料や名簿を作る側としては、まず本人の綴りを確認するのが順番になります。決まっていない場合の基準として告示のつづりを置いておくと、担当者ごとの揺れが減ります。

自分の入力でどこが変わるのかを確かめたいときは、ローマ字変換ツールにかなを貼り付けてください。書き方が変わった仮名だけが対照表として出ます。

この改定で押さえておくこと

表が1つになり、「し」は shi、「つ」は tsu が本表の書き方になりました。書き方が変わるのは対照表22行のうち18行です。

ヘボン式そのままではなく、撥音は常に n です。長音は符号と母音字の2通りが認められました。

そして、いま使っている表記を変えるようには求められていません。新しく決めるとき、見直すときの参考にするものだと考えてください。

参考・出典

本記事は上記の公的機関・公式情報源を参考にしています。最新の情報は各リンク先をご確認ください。

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