区間ごとのペースを足して割ると平均ペースにならない
距離の違う区間のペースを単純に平均すると、実際の平均ペースとずれます。ずれる理由と正しい求め方、電卓や表計算で確かめる順番、丸めが積み上がる場面までまとめました。
公開読了目安 約5分
この記事の要点
- 平均ペースは合計タイム÷合計距離で求める
- 区間ペースの単純平均は距離が同じときだけ一致する
- 遅い区間が短いほど単純平均は実際より遅く出る
- 秒に丸めたペースを積み上げるとゴールがずれる
- 時速の平均も同じ理由で単純平均にできない
目次
練習の記録を表計算に写して、ペースの列に AVERAGE を掛ける。よくある手順ですが、この値は平均ペースではありません。
区間の距離が 1 つでも違えば、出てくる数字は実際に走った(歩いた)ペースからずれます。ずれる理由と、正しい求め方を順番に見ていきます。
10 km を走った 2 つの区間で確かめる
数字を 2 つだけにすると、ずれがはっきりします。次の記録を考えます。
- 1 km を 6:00
- 9 km を 5:00(9 km 合計で 45:00)
区間ペースの単純平均は (6:00 + 5:00) ÷ 2 で 5:30 です。では実際はどうだったでしょうか。
合計は 10 km を 51 分ちょうどです。1 km あたりに直すと 51:00 ÷ 10 で 5:06 になります。
なぜ重みが必要なのか
平均という言葉は、同じ大きさのものを並べたときの真ん中を指します。区間の距離が違うと、この前提が崩れます。
上の例で 6:00 の区間は全体の 10 分の 1 しかありません。それを 5:00 の区間と 1 対 1 で数えれば、遅い側に引っぱられます。
正しい求め方は次の 1 行です。
平均ペース = 合計タイム ÷ 合計距離
これは距離を重みにした平均(加重平均)にあたります。重みを距離にすると、長い区間ほど強く効くので、実際に費やした時間と合います。
距離がそろっているときは一致する
すべての区間が 1 km ずつなら、単純平均と加重平均は同じ値になります。重みが全部等しいので、割り算の順番を変えただけになるからです。
つまり単純平均が悪いのではなく、距離がそろっていないときに使うのが誤りです。1 km ラップだけを並べた表なら、そのまま平均して構いません。
ずれの向きを見分ける
差の向きは、遅い区間の長さで決まります。次の 2 つを覚えておくと、出た数字がおかしいかどうかの見当が付きます。
| 状況 | 単純平均は実際より |
|---|---|
| 遅い区間が短い(登りの 500 m だけ遅い) | 遅く出る |
| 遅い区間が長い(後半 10 km ずっと遅い) | 速く出る |
先ほどの例は前者でした。短い区間が遅いほど、単純平均は悪い数字を返します。
長い区間が遅いときは逆に、単純平均のほうが良い数字になります。記録を実際より良く見せてしまうので、こちらのほうが厄介です。
確かめる順番
自分の記録で確かめるときは、次の順に見ると原因が絞れます。
- 区間の距離がそろっているかを先に見る。そろっていれば単純平均でよい
- そろっていなければ、合計距離と合計タイムを出す
合計タイム ÷ 合計距離を計算する- 単純平均との差を出し、向き(速く出たか遅く出たか)を確かめる
- 差が大きいときは、どの区間が短くて遅いかを表で探す
速さ・ペース計算の「区間の一覧」に 1km 6:00 のような行を貼り付けると、この 1〜4 が一度に出ます。区間ごとのペースも表で並ぶので、5 も同じ画面で追えます。
時速の平均にも同じ話がある
ペースだけの問題ではありません。時速の平均も、距離が違えば単純平均にできません。
行きを 30 km/h、帰りを 60 km/h で同じ道を往復した場合を考えます。単純平均は 45 km/h ですが、実際の平均は 40 km/h です。
同じ距離でもかかった時間が違うからです。遅い側に長く時間を使っているので、その分だけ重みが増えます。
ペースの計算で「合計タイム ÷ 合計距離」を使っておけば、この場合も自動的に正しい値になります。式を覚え直す必要はありません。
丸めが積み上がる場面
もう 1 つ、平均ペースの周りで数字が合わなくなる原因があります。秒に丸めたペースを、距離のぶんだけ積み上げる場合です。
フルマラソン(42.195 km)を 3 時間 30 分で回るペースは、1 km あたり 4 分 58.614 秒です。表示のために秒へ丸めると 4:59 になります。
この 0.386 秒を 42.195 km ぶん積み上げると 16.3 秒です。腕に書いた通過タイムどおりに進むと、ゴールが 16 秒遅くなる計算になります。
対処は難しくありません。通過タイムは丸めたペースから積むのではなく、目標タイムから逆算することです。
目標タイム × 地点の距離 ÷ 全体の距離 で 1 地点ずつ出せば、丸めが積み上がりません。表計算でも同じ式で組めます。
区間の記録を写すときの注意
最後に、記録を写すところで起きるずれにも触れておきます。読み取れなかった行が黙って落ちると、合計距離も合計タイムも小さくなります。
しかも平均ペースは「合計 ÷ 合計」なので、落ちた行が平均に近ければ値はほとんど変わりません。おかしいと気づく手がかりが残らないわけです。
行数を必ず数えてください。貼り付けた行数と、集計に入った行数が一致しているかを見るのがいちばん確実です。
まとめて確かめる
- 平均ペースは
合計タイム ÷ 合計距離。区間ペースの平均ではない - 距離がそろっているときだけ、単純平均と一致する
- 遅い区間が短いと単純平均は遅く出て、長いと速く出る
- 通過タイムは丸めたペースからではなく、目標タイムから逆算する
- 集計に入った行数を必ず数える
数字を手で追うのが面倒なときは、速さ・ペース計算に区間の一覧を貼り付けてください。加重平均と単純平均の両方と、その差が同じ画面に出ます。
あわせて読みたい
同じテーマ・関連ツールの記事です。