てもとツール
ガイド

度数分布表から標準偏差を求める方法|階級値で生じるずれ

度数分布表しか手元にないときは、各階級を階級値で置き換え、「階級値×度数」で平均と分散を求めます。30人の点数を例に、割る数を度数の合計にする理由、仮平均で計算を楽にする方法、元のデータから求めた値とのずれの大きさまで、実際に計算して示します。

公開読了目安 約6分

この記事の要点

  • 各階級の値をすべて階級値(境目の真ん中)とみなし、度数で重みを付けて計算する
  • 分散で割るのは度数の合計で、階級の数ではない
  • 仮平均と階級の幅で置き換えると、小数の少ない計算で同じ答えになる
  • 元のデータから求めた値とはずれる。向きも大きさも、階級の切り方で変わる
  • 「90点以上」のように端が開いた階級は、置いた階級値しだいで結果が動く
目次

度数分布表から標準偏差を求めるときは、各階級に入った値をすべて「階級値」とみなして計算します。 階級値に度数を掛けて足せば、元の値を 1 つずつ並べたときと同じ形の計算になります。

ただし、階級の中の値を真ん中に寄せているので、元のデータから求めた値とは少しずれます。 この記事では 30 人の点数を例に、手順とずれの大きさを両方計算して確かめます。

偏差や分散そのものの意味は、標準偏差の求め方の記事で扱っています。 ここでは「表しかないとき」の計算に絞ります。

例にする度数分布表

ある小テスト(100 点満点)の 30 人分の点数を、10 点刻みにまとめた表です。 階級値は、各階級の境目の真ん中の値です。

階級(点)階級値度数(人)
30 以上 40 未満351
40 以上 50 未満452
50 以上 60 未満554
60 以上 70 未満657
70 以上 80 未満758
80 以上 90 未満855
90 以上 100 未満953
合計30

「60 以上 70 未満」の 7 人は、61 点の人も 69 点の人も、計算では全員 65 点として扱います。 これが、あとで出てくるずれの出どころです。

手順1:平均は「階級値×度数」の合計を人数で割る

階級値と度数を掛けて、全部足します。 35×1 + 45×2 + 55×4 + 65×7 + 75×8 + 85×5 + 95×3 = 2,110 です。

これを度数の合計 30 で割ると、平均は約 70.33 点になります。 65 を 7 回足す代わりに 65×7 としているだけなので、値を 30 個並べた平均と同じ計算です。

手順2:偏差の2乗に度数を掛けて足す

次に、階級値から平均を引いた偏差を 2 乗し、度数を掛けます。 平均は割り切れないので、小数第 2 位までに丸めた 70.33 を使います。

階級値度数偏差(階級値 − 70.33)偏差の2乗 × 度数
351−35.331,248.21
452−25.331,283.22
554−15.33940.04
657−5.33198.86
7584.67174.47
85514.671,076.04
95324.671,825.83
合計306,746.67

右端の合計 6,746.67 を度数の合計 30 で割ると、分散は約 224.89 です。 その平方根を取って、標準偏差は約 15.00 点になります。 丸めない平均(70.333…)で計算しても、合計は小数第 2 位まで同じ 6,746.67 です。

割る数は度数の合計で、階級の数ではない

取り違えやすいのは、分散を求めるときに階級の数で割ってしまうことです。 この表は 7 行ですが、データは 30 人ぶんあります。

割り方計算標準偏差
正しい(母標準偏差)√(6,746.67 ÷ 30)約 15.00
正しい(不偏標準偏差)√(6,746.67 ÷ 29)約 15.25
誤り√(6,746.67 ÷ 6)約 33.53

誤りの行は、行の数 7 から 1 を引いた 6 で割っています。 母標準偏差は、値の幅(最大 − 最小)の半分を超えません。 階級値の幅は 35 から 95 までの 60 点なので、33.53 は上限の 30 を超えていて誤りと分かります。

不偏標準偏差にするときも、引くのは度数の合計からの 1 です。 母と不偏の選び方は、ExcelのSTDEV.PとSTDEV.Sの違いにまとめています。

仮平均を使うと小数が減る

手順2のように平均が割り切れないと、偏差の計算が小数だらけになります。 手で計算するなら、きりのよい値を「仮の平均」として引いてから計算すると楽です。

ここでは、仮平均を 65、階級の幅を 10 とします。 各階級値を u =(階級値 − 65)÷ 10 に置き換えると、u は −3 から 3 の整数になります。

階級値u度数u × 度数u の2乗 × 度数
35−31−39
45−22−48
55−14−44
650700
751888
85251020
9533927
合計301676

u の平均は 16 ÷ 30、u の分散は「2 乗の平均 − 平均の 2 乗」で 76 ÷ 30 − (16 ÷ 30)² = 約 2.249 です。 元の単位に戻すには、平均は 65 + 10 × (16 ÷ 30)、分散は 10² 倍します。

平均は約 70.33、分散は約 224.89 で、手順1・2 と同じ値になります。 「2 乗の平均 − 平均の 2 乗」の式が成り立つ理由と、桁の大きい値で使うときの注意は、分散の近道公式の記事にあります。

元のデータから求めた値とのずれ

この表は、実際には次の 30 個の点数から作りました。

38 45 49 52 55 57 58 61 63 64
66 67 68 69 71 72 73 74 75 77
78 79 81 83 84 86 88 91 94 98

元のデータで直接計算すると、平均は約 70.53、母標準偏差は約 14.44 です。 同じ 30 個を、5 点刻み・10 点刻み・20 点刻みの表にして比べました。

求め方平均母標準偏差
元のデータから70.5314.44
5 点刻みの表から70.6714.29
10 点刻みの表から70.3315.00
20 点刻みの表から70.0015.49

10 点刻みでは、標準偏差が元のデータより 0.56 点大きく出ました。 20 点刻みでは 1.05 点まで開いています。

一方、5 点刻みでは逆に 0.15 点小さく出ました。 この例では刻みを細かくするほどずれは小さくなりましたが、大きく出るか小さく出るかは表ごとに違います。

幅の2乗÷12を引く補正

階級の幅を h とすると、分散から h² ÷ 12 を引く補正が知られています(シェパードの補正)。 分布がなめらかで、階級が十分に細かいことを前提にした近似です。

この例で試すと、10 点刻みは 14.72、20 点刻みは 14.38 になり、元の 14.44 に近づきました。 ところが 5 点刻みは 14.21 になり、補正前の 14.29 より元の値から離れています。

この例のように、補正でかえって元の値から離れることもあります。 補正した値を書くときは、補正したことも一緒に書いておくと読み手が迷いません。

階級値の置き方で結果が動く場面

端が開いた階級

「90 点以上」のように上の端が決まっていない階級は、階級値を自分で置くしかありません。 この例の最後の階級を「90 点以上」として、階級値を 95 と置くか 100 と置くかで比べました。

最後の階級の階級値平均母標準偏差
9570.3315.00
10070.8315.87

3 人ぶんの置き方の違いだけで、標準偏差が 0.87 点動きます。 開いた階級があるときは、どの値を置いたかを結果と一緒に書いてください。

満点がどの階級に入るか

「以上・未満」で区切った表に 100 点の人がいると、100 点は「100 以上 110 未満」に入ってしまいます。 最後の階級だけ「90 以上 100 以下」とする書き方もあるので、表の注記を確かめてから階級値を決めます。

計算した値をツールで確かめる

平均・標準偏差計算ツールに、階級値を度数の数だけ並べて貼ると、手順1・2 と同じ計算になります。 35 を 1 行、45 を 2 行、55 を 4 行……と、30 行並べて貼ります。 平均 70.333333・母標準偏差 14.996296・不偏標準偏差 15.252661 と出ます。

元の 30 個を貼った場合は、平均 70.533333・母標準偏差 14.440068 です。 表から求めた値と並べると、ずれの大きさがその場で分かります。

関連記事

あわせて読みたい

同じテーマ・関連ツールの記事です。