ExcelのSTDEV.PとSTDEV.Sの違い|使い分けの決め方
STDEV.Pは手元のデータを全部とみなしてnで割り、STDEV.Sは一部とみなしてn−1で割ります。どちらを選ぶかの決め方、件数ごとの差の大きさ、空白・0・文字列で結果が変わる落とし穴をまとめました。
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この記事の要点
- STDEV.Pはnで割り、STDEV.Sはn−1で割る
- データの外に知りたい相手がいるならSTDEV.Sを選ぶ
- 件数が30を超えると、2つの差は2%に満たない
- 空白は数に入らず、0は1件として数えられる
- 文字列として入った数字は、STDEV.Sから黙って外れる
目次
STDEV.P は、選んだデータを「対象の全部」とみなして n で割る関数です。 STDEV.S は「全体から抜き出した一部」とみなして、n−1 で割ります。
迷ったら、そのデータの外に知りたい相手がいるかで決めてください。 外にいるなら STDEV.S、いないなら STDEV.P です。
標準偏差の関数は6つある
Excel で標準偏差を出す関数は、名前の似たものが6つあります。 まず全体を表で並べておきます。
| 関数 | 割る数 | 範囲の中の文字列・TRUE/FALSE | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| STDEV.P | n | 無視する | 全部とみなすとき |
| STDEV.S | n−1 | 無視する | 一部とみなすとき |
| STDEVP | n | 無視する | STDEV.P の旧名 |
| STDEV | n−1 | 無視する | STDEV.S の旧名 |
| STDEVPA | n | 文字列と FALSE は 0、TRUE は 1 | 文字も数に入れる |
| STDEVA | n−1 | 文字列と FALSE は 0、TRUE は 1 | 文字も数に入れる |
STDEV と STDEVP は、Excel 2010 より前からある古い名前です。 計算の中身は STDEV.S と STDEV.P と同じで、互換のために残されています。
新しく式を書くなら、意味が名前から分かる STDEV.S と STDEV.P を使ってください。 P は母集団(Population)、S は標本(Sample)の頭文字です。
同じ5つの点数で結果を比べる
10 点満点の小テストで、5 人の点が 7・8・6・9・10 だったとします。 2 つの関数に同じ範囲を渡すと、結果は次のとおりです。
| 式 | 結果 |
|---|---|
=STDEV.P(A1:A5) | 1.414 |
=STDEV.S(A1:A5) | 1.581 |
平均は 8 点で、平均からのずれを 2 乗して足すと 10 になります。 STDEV.P はこれを 5 で割り、STDEV.S は 4 で割ってから平方根を取っています。
割る数が小さいぶん、STDEV.S のほうが大きく出ます。 ただし値が全部同じなら、どちらも 0 で差はありません。 計算の4ステップそのものは、標準偏差の求め方の記事で順に追っています。
どちらを使うかは「データの外」で決める
関数を選ぶときは、その数字で何を言いたいかを先に決めます。 手元のデータだけを語るのか、手元のデータを通して外の何かを推し量るのか、です。
| 場面 | 知りたい相手 | 使う関数 |
|---|---|---|
| クラス全員の小テストの散らばりを、そのクラスについて報告する | 手元の全員 | STDEV.P |
| 今月の毎日の来店数の散らばりを、今月について振り返る | 手元の全日 | STDEV.P |
| 作った部品から 10 個抜き取り、全体の寸法のばらつきを見積もる | 抜き取らなかった部品も含む全体 | STDEV.S |
| 回答してくれた人の結果から、利用者全体の傾向を見る | 回答しなかった人も含む全体 | STDEV.S |
授業やレポートで関数や計算方法の指定があれば、指定に従ってください。 統計の課題では、データを標本として扱い STDEV.S を使うよう指示されることもあります。
件数が多いと差はほとんど消える
STDEV.S が STDEV.P の何倍になるかは、データの中身によらず件数だけで決まります。 倍率は「n÷(n−1) の平方根」です(値が全部同じで、どちらも 0 になる場合を除きます)。
| 件数 n | STDEV.S ÷ STDEV.P | 差 |
|---|---|---|
| 2 | 1.414 倍 | 41.4% |
| 3 | 1.225 倍 | 22.5% |
| 5 | 1.118 倍 | 11.8% |
| 10 | 1.054 倍 | 5.4% |
| 30 | 1.017 倍 | 1.7% |
| 100 | 1.005 倍 | 0.5% |
5 件なら 1 割以上違うので、どちらを使ったかで結論が変わることがあります。 30 件を超えると差は 2% に届かず、どちらを選んでも読み取りはほぼ同じです。
関数選びで本当に気をつけたいのは、件数が少ないときです。 数人ぶんの点数や、数回だけの測定では、選んだ関数を結果と一緒に書いておきましょう。
空白・0・文字列で結果が変わる落とし穴
関数の選び方より大きく結果を動かすのが、範囲の中に何が入っているかです。 先ほどの 5 人に、テストを受けなかった 6 人目を足して確かめます。
空白のセルは数に入らない
6 人目のセルを空白にすると、STDEV.S は 5 人ぶんとして計算します。 結果は 1.581 のまま変わりません。
0 を入れると 1 人として数える
6 人目に 0 を入れると、0 点を取った 1 人として扱われます。 平均は約 6.67 点に下がり、STDEV.S は 3.559 まで跳ね上がります。
受けていない人を 0 で埋めると、散らばりは 2 倍以上に見えます。 未受験は空白にして、0 点を取った人とは分けて入力してください。
「欠席」と書くと関数で扱いが分かれる
6 人目に「欠席」と文字で書いた場合は、関数によって結果が違います。
- STDEV.S と STDEV.P は文字列を無視するので、空白と同じ結果になる
- STDEVA と STDEVPA は文字列を 0 として数えるので、0 を入れた結果と同じになる
STDEVA を使うと「欠席」が 0 点として計算に入ります。 文字で印を付けた表では、A の付かない関数を選んでください。
A を付けるかどうかは、文字列を数えるかどうかだけを決めます。 P と S のどちらにするかは、前の「データの外」の決め方のままです。
文字列として入った数字は黙って外れる
見た目は数字でも、セルの中身が文字列になっていることがあります。 左寄せで表示される数字や、左上に緑の三角が付いたセルがそれです。
CSV を貼り付けたときや、数字の前に ' を付けて入力したときに起こりがちです。
STDEV.S はこのセルを無視するので、エラーも出ないまま件数が減ります。
1 件だけだと STDEV.S は #DIV/0! になる
STDEV.S は n−1 で割るので、数値が 1 件だけだと 0 で割ることになります。
このとき結果は #DIV/0! です。
STDEV.P は 1 件でも計算でき、結果は 0 になります。 フィルターで絞り込んだあとに急にエラーが出たら、残った件数を確かめてください。
Googleスプレッドシートでも名前は同じ
Googleスプレッドシートにも、同じ名前の6つの関数がそろっています。 割る数の違いも、STDEVA が文字列を 0 として数える点も同じです。
Excel で作った表をスプレッドシートで開いても、式を書き換える必要はありません。 落とし穴も同じなので、件数の確認は COUNT で行ってください。
関数を打たずに両方の値を確かめる
式を書く前に答えの見当をつけたいときや、別の値が出て困ったときの照合に向く方法があります。 列をコピーして平均・標準偏差計算ツールに貼ると、2 つの標準偏差が並んで出ます。 母標準偏差が STDEV.P、不偏標準偏差が STDEV.S と同じ値です。
件数も一緒に出るので、Excel の COUNT と見比べられます。 「欠席」のように数値として読めない値は、何個スキップしたかを知らせます。
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- なぜn−1で割るのか|不偏分散を少人数の例で確かめる
参考・出典
- STDEV.S 関数 — Microsoft サポート (2026-10-01 閲覧)
- STDEV.P 関数 — Microsoft サポート (2026-10-01 閲覧)
- STDEVA 関数 — Microsoft サポート (2026-10-01 閲覧)
- STDEVA - Google ドキュメント エディタ ヘルプ — Google (2026-10-01 閲覧)
本記事は上記の公的機関・公式情報源を参考にしています。最新の情報は各リンク先をご確認ください。
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