標準偏差が大きい・小さいの目安|何と比べれば判断できるか
標準偏差に「この値より上なら大きい」という決まった目安はありません。平均・取りうる幅・同じ物差しの別データ・許せる幅の4つと比べて判断する方法を、具体的な数値つきでまとめました。外れ値で大きく出る場合の見分け方も紹介します。
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この記事の要点
- 標準偏差には単独で使える大小の目安がない
- 単位をcmからmmに変えるだけで数字は10倍になる
- 平均・取りうる幅・別データ・許せる幅の4つと比べて判断する
- 0〜100点のテストなら、母標準偏差の上限は50点
- 外れ値が1つあるだけで、標準偏差が8倍以上になることがある
目次
標準偏差には「この値を超えたら大きい」という決まった目安はありません。 数字の大きさが、データの単位や桁でいくらでも変わるからです。
大きいか小さいかは、何かと比べて初めて決まります。 この記事では、比べる相手を4つと、数字が大きく出たときの確かめ方を紹介します。
数字だけでは大きさが決まらない
棚板を 5 枚測って、160・165・170・175・180 cm だったとします。 このときの標準偏差(母標準偏差)は 7.07 cm です。
同じ 5 枚を mm で書くと、1600 から 1800 mm になります。 標準偏差は 70.71 mm と、数字だけが 10 倍に増えます。
板の散らばり方は何も変わっていません。 「標準偏差 70 は大きいか」という問いに、単位抜きでは答えられないのはこのためです。
比べ方1:平均と比べる
1 つ目は、標準偏差を平均で割って「平均の何%ぶん散らばっているか」を見る方法です。 この割合は変動係数と呼ばれます。
棚板の例では、7.07 ÷ 170 で約 4.2% です。 mm で計算しても 70.71 ÷ 1700 で同じ 4.2% になり、単位の影響が消えます。
平均の桁が違うデータどうしでも、この割合なら並べて比べられます。 1 個 20 g の部品と 2 kg の部品のばらつきを比べる、といった場面です。
比べ方2:取りうる幅と比べる
2 つ目は、データが取りうる幅の中で、どのくらいの位置にあるかを見る方法です。 0 点から 100 点のテストのように、上限と下限が決まっているデータで使えます。
散らばりが最も大きくなるのは、半分の人が 0 点、残り半分が 100 点のときです。 このとき母標準偏差は 50 点で、これが上限になります。
一般に、値が「最小〜最大」の範囲に収まるなら、母標準偏差は(最大−最小)÷ 2 を超えません。 標準偏差 15 点なら上限の 3 割、5 点なら 1 割と読めます。
反対の端は 0 です。 全員が同じ点なら、標準偏差は 0 になります。
比べ方3:同じ物差しの別データと比べる
3 つ目は、同じテストや同じ測り方で取った、別のデータと並べる方法です。 平均点がどちらも 60 点の 2 つの組で考えます。
| 組 | 5 人の点数 | 平均 | 母標準偏差 |
|---|---|---|---|
| A 組 | 55・58・60・62・65 | 60 | 3.41 |
| B 組 | 40・50・60・70・80 | 60 | 14.14 |
平均は同じでも、B 組の散らばりは A 組の約 4 倍です。 A 組はほぼ全員が近い点に固まり、B 組は 40 点から 80 点まで広く散らばっています。
この比べ方が成り立つのは、物差しがそろっているときだけです。 満点の違うテストどうしなら、比べ方2のように取りうる幅に対する割合に直してから並べます。
それでも、問題の難しさの違いまでは消せません。 偏差値はテストごとの標準偏差で割って作るので、散らばりの違いを比べる用途には使えない点にも気をつけてください。
先月と今月、去年と今年のように、同じデータを時期で並べるのもこの方法です。 標準偏差が前より増えたか減ったかは、単独の数字よりずっと読みやすくなります。
比べ方4:許せる幅と比べる
4 つ目は、「平均±標準偏差」の幅を、自分が許せる幅と突き合わせる方法です。 左右対称の山形に近いデータなら、平均±標準偏差は多くの値が入る範囲の目安になります。
たとえば、1 件の作業にかかる時間の平均が 20 分だったとします。 標準偏差が 2 分なら多くの作業は 18〜22 分、8 分なら 12〜28 分のあたりに散らばります。
ここで気をつけたいのは、平均+標準偏差は上限ではないことです。 1 件 30 分の枠で予定を組むと、山形に近い分布なら、2 分のときに枠を超える作業はほぼ出ません。 8 分のときは、およそ 1 割の作業が 30 分を超えます。
1 割のはみ出しを許せるなら 8 分は問題のない散らばりで、許せないなら大きすぎる散らばりです。 同じ 8 分でも、どのくらいのはみ出しを許すかで「大きい」かどうかが変わります。
大きく出たら、まず外れ値を疑う
標準偏差が思ったより大きいとき、全体が散らばっているとは限りません。 1 つだけ極端な値が混ざっていることがあります。
50 前後の値が 9 個並んでいるデータで確かめます。
| データ | 平均 | 中央値 | 母標準偏差 |
|---|---|---|---|
| 47〜53 の 9 個 | 50 | 50 | 1.76 |
| 上の 9 個 + 100 を 1 個 | 55 | 50 | 15.09 |
100 を 1 つ足しただけで、標準偏差は 8 倍以上になりました。 平均も 5 動いていますが、中央値は 50 のままです。
標準偏差は、平均からのずれを 2 乗して足すので、遠くの値ほど強く効きます。 平均と中央値が大きく離れていたら、最大値と最小値を見て、入力ミスや特別な事情がないか確かめてください。
大きいのが悪いとは限らない
標準偏差は、小さいほど良いとも、大きいほど悪いとも決まっていません。 良し悪しは、そのデータで何をしたいかで決まります。
- 部品の寸法や作業時間なら、小さいほど仕上がりや予定が安定する
- テストの点数なら、小さすぎると問題が易しすぎて差がつかなかったことを表す
- 好みを聞くアンケートなら、大きいと意見が割れていることを表す
数字が出たら、「この散らばりは、自分の目的にとって困るか」と問い直してください。 そこまで考えて初めて、大きい・小さいの判断がつきます。
4つの比べ方を一度に確かめる
比べ方1から外れ値の確認までには、平均・中央値・最大・最小・標準偏差がそろって要ります。 平均・標準偏差計算ツールに数値を貼ると、これらが一度に並びます。
標準偏差を平均で割れば比べ方1、範囲と比べれば比べ方2の見当がつきます。 平均と中央値の差も同じ画面で見比べられるので、外れ値に気づくきっかけになります。
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