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変動係数の求め方|平均が違うデータのばらつきを比べる

変動係数は「標準偏差 ÷ 平均」で求め、100を掛けると%になります。平均の大きさが違うデータのばらつきを比べるときに使います。計算の手順と、母・不偏のそろえ方、℃や平均が0に近いデータで使えない理由を数値例でまとめました。

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この記事の要点

  • 変動係数は標準偏差を平均で割った値で、100を掛けると%になる
  • 平均が10倍違う作業でも、平均の何割ぶれるかで並べて比べられる
  • 比べる2つのデータでは、母・不偏のどちらで割るかをそろえる
  • ℃のように0が基準点にすぎないデータでは、単位を変えると結論が変わる
  • 平均が0に近いデータでは値が暴れ、平均が0なら計算できない
目次

変動係数は、標準偏差を平均で割った値です。 100 を掛けると、標準偏差が平均の何%にあたるかを表す数字になります。

平均の大きさが違うデータどうしで、ばらつきを比べたいときに使います。 この記事では、求め方の手順と、使ってはいけないデータの見分け方を数値例で説明します。

変動係数の求め方(3 ステップ)

例として、封入作業 1 件にかかった時間を 6 回測ったデータで計算します。 1.5・2.0・2.5・1.5・2.5・2.0 分です。

ステップ 1:平均を出す。 合計 12.0 分を 6 で割って、平均は 2.0 分です。

ステップ 2:標準偏差を出す。 母標準偏差(÷n)で計算すると 0.408 分です。 標準偏差そのものの計算手順は標準偏差の求め方の記事で追っています。

ステップ 3:標準偏差を平均で割る。 0.408 ÷ 2.0 で 0.204、100 を掛けて 20.4% です。 標準偏差が、平均の 20.4% にあたる大きさだという意味です。

値が平均の±20.4% の範囲に収まる、という意味ではありません。 この例の値は、平均から 0% か 25% のどちらかだけ離れています。

標準偏差のままだと逆の結論になる例

もう 1 つ、梱包作業の時間を 6 回測ったデータを用意します。 18・20・22・19・21・20 分です。

作業平均母標準偏差変動係数
封入2.0 分0.408 分20.4%
梱包20.0 分1.291 分6.5%

標準偏差だけを見ると、梱包のほうが 3 倍以上ぶれています。 変動係数で見ると、反対に封入のほうが 3 倍以上ぶれています。

梱包は 1 回 20 分かかる作業なので、1.3 分のぶれは平均の 1 割に届きません。 封入は 2 分の作業に 0.4 分のぶれなので、割合で見ると大きく揺れています。

どちらの数字で比べるかは目的で決める

2 つの答えは、どちらかが間違っているわけではありません。 問いが違うだけです。

  • 予定に何分の余裕を見込むか、のように分の量が知りたいなら標準偏差で比べる
  • 規模の違う作業のうち、どれが安定しているか、のように割合が知りたいなら変動係数で比べる

上の例で、1 件ごとの予定に何分の余裕を足すかなら、梱包のほうを多く見込みます。 手順の見直しで安定させたい作業を選ぶなら、変動係数の大きい封入が候補に上がります。

母と不偏、どちらで割るかをそろえる

標準偏差には、÷n の母標準偏差と、÷(n−1) の不偏標準偏差があります。 どちらを使っても変動係数は求まりますが、値は変わります。

封入の例を不偏標準偏差で計算すると 0.447 分になり、変動係数は 22.4% です。 母標準偏差の 20.4% より、2 ポイントほど大きく出ます。

比べる 2 つのデータでは、どちらで割るかを必ずそろえてください。 片方を母、片方を不偏で出すと、ばらつきの差ではなく計算方法の差が混ざります。

件数が違うデータどうしでは、不偏と母の差も件数によって変わります。 違いの詳しい中身はExcelのSTDEV.PとSTDEV.Sの違いの記事にまとめました。

使えないデータ1:0 が「何もない」ではない

変動係数が意味を持つのは、0 が「量がない」ことを表すデータだけです。 長さ・重さ・時間・個数がこれに当たります。

気温(℃)は、0℃ でも温度がないわけではありません。 0 は水が凍る温度に置いた基準点で、華氏(℉)に直すと 32 になります。

同じ 2 週間の最高気温を、単位を変えて計算した結果です。 どちらの週も、標準偏差はちょうど 2℃ で同じです。

単位1 週目(平均 12℃)2 週目(平均 22℃)1 週目 ÷ 2 週目
℃16.7%9.1%1.83 倍
℉6.7%5.0%1.34 倍
K(ケルビン)0.70%0.68%1.04 倍

℃ で計算すると、1 週目のほうが 2 倍近くぶれているように見えます。 ところが ℉ では 1.3 倍、K では差がほとんどありません。

単位を換えただけで結論が動くなら、その比較には意味がありません。 このデータでは、標準偏差どうし(2℃ と 2℃)で比べてください。 ℉ に換えても 3.6℉ と 3.6℉ で、単位を換えても結論が変わりません。

使えないデータ2:平均が 0 に近い

前の月からの増減のように、プラスとマイナスが混ざるデータも向きません。 平均が 0 に近づくほど、割る数が小さくなって値が暴れます。

−3・+2・+1・−1・+2 の 5 つなら、平均は 0.2、母標準偏差は 1.94 です。 変動係数は約 970% になり、もとのデータの散らばり方とかけ離れた数字になります。

最後の +2 を +1 に変えると、平均はちょうど 0 になります。 0 では割れないので、変動係数はそもそも計算できません。

ツールや表計算で求めるとき

平均・標準偏差計算ツールに数値を貼ると、平均と 2 種類の標準偏差が並びます。 変動係数の欄はないので、出てきた標準偏差を平均で割ってください。

表計算なら 1 つのセルで求まります。 データが A2 から A7 にあるなら、次の式を入れます。

=STDEV.P(A2:A7)/AVERAGE(A2:A7)

セルの表示形式をパーセントにすると、% で読めます。

不偏標準偏差で割るときは、STDEV.P を STDEV.S に換えます。 比べるもう一方のデータにも、同じ関数を使ってください。

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