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三角形はどの3つが分かれば解けるか|定理の使い分けと解の数

三角形の 6 つの値のうち、どの 3 つが分かれば残りを求められるかを整理しました。正弦定理と余弦定理の使い分け、答えが 2 通りになる唯一の組み合わせ、三角形にならない 3 つの条件、細長い三角形で計算が壊れる理由まで、実際の数値つきで説明します。

公開読了目安 約5分

この記事の要点

  • 3つの値の組み合わせは6通りしかない
  • 辺が1つもないと大きさは決まらない
  • 2辺と挟まない角だけが2通りの答えを持つ
  • 三角形にならない条件は3種類に整理できる
  • 細長い三角形では余弦定理の式が桁を失う
目次

三角形の 6 つの値のうち、3 つが分かれば残りは決まります。ただし「辺を 1 つ以上含むこと」という条件が付きます。

そして 3 つの選び方は、実質 6 通りしかありません。どれに当たるかが決まれば、使う定理も自動的に決まります。

3 つの選び方は 6 通りに分かれる

三角形の値は 3 辺(a・b・c)と 3 角(A・B・C)の 6 つです。辺 a の向かいが角 A という対応で名前が付きます。

この 6 つから 3 つを選ぶ組み合わせは、位置関係まで見ると次の 6 種類になります。

何が分かっているか呼び名最初に使う定理答えの数
3 辺SSS余弦定理1 通り(作れるとき)
2 辺とその間の角SAS余弦定理1 通り
2 角とその間の辺ASA内角の和 → 正弦定理1 通り
2 角と間でない辺AAS内角の和 → 正弦定理1 通り
2 辺と間でない角SSA正弦定理0・1・2 通り
3 角AAA正弦定理(比のみ)大きさは決まらない

見て分かるとおり、答えの数が割れるのは SSA だけです。ほかは作れるか作れないかの二択になります。

角が 2 つ分かったら残り 1 つは引き算でよい

ASA と AAS では、まず内角の和から 3 つ目の角を出します。180 度から 2 つを引くだけです。

そのあと正弦定理で辺を出します。たとえば角 35 度・75 度と、その間の辺 12 なら、残る角は 70 度です。

このとき残りの 2 辺は約 7.3246 と約 12.335 になります。角が 2 つそろっていれば、辺は 1 本だけで足ります。

辺と角が混ざったら、角が「間」かどうかを見る

2 辺と 1 角が分かっている場合、その角が 2 辺の間にあるかどうかで扱いが変わります。

間にあれば SAS です。余弦定理で 3 つ目の辺が一度に出ます。辺 8 と 5、その間の角 40 度なら、3 つ目の辺は約 5.2646 です。

間になければ SSA です。ここだけ答えが 1 つに決まりません。

答えが 2 通りになるのは SSA だけ

SSA で答えが割れるのは、正弦定理が sin の値しか教えてくれないからです。sin の値が同じ角は、鋭角と鈍角の 2 つあります。

分かれ目は、角から下ろした高さです。角 A とその向かいの辺 a、もう 1 本の辺 b が分かっているとき、高さは b × sin A で出ます。

条件答えの数
a が高さより短い0 通り
a が高さとちょうど同じ1 通り(直角三角形)
高さ < a < b2 通り
a が b 以上1 通り

角 A が 20 度、辺 b が 7 のときで確かめます。高さは 7 × sin 20° なので約 2.3941 です。

辺 a が 2 なら高さに届かないので 0 通りです。3 なら高さと 7 のあいだなので 2 通り、7 なら 1 通りになります。

なお角 A が直角以上のときは、その向かいの辺 a がいちばん長くなければ三角形になりません。この場合は 2 通りにならず、0 か 1 のどちらかです。

三角形にならない条件は 3 種類

計算が進まないときは、次の 3 つのどれかに当たっています。原因ごとに測り直す場所が違います。

1 つ目は三角不等式です。 いちばん長い辺が、残り 2 辺の合計以上になっているときです。辺 10・2・1 がその例で、2 + 1 = 3 なので届きません。

2 つ目は内角の和です。 与えられた 2 つの角の合計が 180 度以上だと、3 つ目の角が作れません。

3 つ目は SSA の高さ不足です。 上の表の 1 行目に当たります。角度を測り間違えたか、辺を取り違えたかのどちらかです。

ちょうど等号になる場合も三角形にはなりません。辺 3・4・7 は 3 + 4 = 7 なので、3 点が一直線に並びます。

細長い三角形では余弦定理の形を選ぶ

ここからは計算の精度の話です。教科書どおりの式が、特定の形で答えを失うことがあります。

3 辺から角を出す余弦定理は cos A = (b² + c² − a²) ÷ 2bc という形です。この式は引き算で有効桁を失います。

辺 100000・100000・0.001 の三角形で試すと分かります。この式を使うと、いちばん小さい角が ちょうど 0 度になります。

正しい値は約 5.7296e-7 度です。角が 0 度なら三角形は潰れているので、答えとして成立していません。

代わりに半角の公式を使うと桁が残ります。tan(θ/2) = √((s−b)(s−c) ÷ (s(s−a))) という形で、引き算が先に来ません。

面積の公式も同じ問題を抱えている

ヘロンの公式も同じです。同じ三角形で素朴に計算すると 49.99999946 になります。

真の値は 49.999999999999999375… です。高さは等しい辺そのものではなく、√(100000² − 0.0005²) だからです。

引き算の順序を選んで並べ替えると、倍精度で表せるいちばん近い値である 50 が出ます。カハンという研究者が示した並べ方です。

素朴な式のずれは丸めでは説明できません。真の値から 5.4e-7 ほど離れています。

挟む角がごく小さいときも同じ

2 辺と間の角から 3 つ目の辺を出す式も、角が 0 に近いと桁が落ちます。a² + b² − 2ab·cos C の引き算が原因です。

辺 10・10、間の角 0.00001 度で比べると、素朴な式は約 0.083% ずれます。√((a−b)² + 4ab·sin²(C÷2)) という形なら、この誤差は出ません。

辺 31・31・0.000001 のように極端な形では、素朴な式の誤差が 7.6% にもなります。桁数を増やしても、式の形が同じなら改善しません。

手で解くときの順番

ここまでを 1 つの手順にまとめます。上から順に当てはめれば、迷う場面がなくなります。

  1. 分かっている値を 6 つの枠に書き出す
  2. 辺が 1 つも無ければ、大きさは決まらない(比だけ出す)
  3. 3 辺なら三角不等式を確かめてから余弦定理へ
  4. 2 辺 1 角なら、角が辺の間にあるかを見る
  5. 間にあれば余弦定理、無ければ高さ b × sin A と比べる
  6. 2 角 1 辺なら内角の和で 3 つ目の角を出してから正弦定理へ

答え合わせには三角形の辺と角の計算が使えます。入れた 3 つから型を判別し、当てた定理を途中式として並べます。

覚えておくとよいこと

三角形は 3 つの値で決まりますが、その 3 つには辺が 1 本以上要ります。角だけでは形が決まっても大きさが決まりません。

答えが 2 通りに割れるのは 2 辺と挟まない角の組み合わせだけです。この型に当たったら、絞り込む材料をもう 1 つ探してください。

そして細長い三角形では、教科書どおりの式が桁を失います。極端な形を扱うときは、式の形そのものを選び直す必要があります。

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