常用漢字にない漢字の書き方|ひらく・言い換える・ふりがなの使い分け
常用漢字表にない漢字は、仮名で書く・同じ読みの常用漢字に替える・言い換える・その字だけ仮名かふりがなにする、の4つで書き直せます。文化審議会の「公用文作成の考え方」の例をもとに、選ぶ順番とふりがなの付け方を整理します。
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この記事の要点
- 常用漢字表にない字は、仮名・同じ読みの常用漢字・言い換え・その字だけ仮名かふりがな、の4つで書き直せる
- 「その字だけ仮名かふりがな」は、ほかに良い書き方が無いときの方法とされている
- ふりがなは、表にない字と読みにだけ付け、初めて出たところなど基準を決めてそろえる
- 表にある字でも、表にない読みで使うと書き直しの対象になる(活かす→生かす)
- 人名・地名は常用漢字表の対象外で、通用している書き方を使ってよい
目次
常用漢字表にない漢字は、4つの方法で書き直せます。 仮名で書く、同じ読みの常用漢字に替える、別の言葉で言い換える、その字だけを仮名かふりがなにする、の4つです。
この分け方は、文化審議会が2022年にまとめた「公用文作成の考え方」によります。 国の役所の文書のための考え方ですが、表にない字の直し方は、お便りや広報の原稿でも手がかりになります。 この記事では、例とあわせて選び方を整理します。
書き直す前に、表にない「字」と「読み」を分けて見つける
書き直しの対象は2種類あります。 1つは常用漢字表にない字で、もう1つは、表にある字を表にない読みで使った言葉です。
- 表にない字: 「絆」「嬉しい」の「嬉」
- 表にない読み: 「活かす」の「い(かす)」、「概ね」の「おおむね」
表にない字は、表と照らせば機械的に見つかります。 常用漢字チェッカーに原稿を貼ると、表にない字に印が付きます。
表にない読みは、字を照らすだけでは見つかりません。 「活」も「概」も常用漢字なので、印は付かないからです。 読みは、表にない読みに印を付けた辞書などで、1語ずつ確かめます。
書き直し方は4つある
公用文作成の考え方は、常用漢字表で書き表せない語を次の4つで書くとしています(8〜10ページ)。 例はどれも、同じ資料に挙げられているものです。
1. 仮名で書く
訓で読む語は、ひらがなで書きます。 「嬉しい→うれしい」「叩く→たたく」「予め→あらかじめ」がこの例です。
音で読む語でも、漢字を使わずに意味が通るなら、そのままひらがなにします。 「斡旋→あっせん」「杜撰→ずさん」「咄嗟→とっさ」が挙がっています。
動物や植物の名前を一般の言葉として書くときは、表にない字なら仮名で書きます。 「鼠→ねずみ」「駱駝→らくだ」で、学術的な名前としては片仮名で書くことが多いとされています。
2. 同じ読みで意味の通じる常用漢字に替える
同じ訓を持つ常用漢字があれば、その字に替えます。 「活かす→生かす」「歎く→嘆く」「解る・判る→分かる」がこの例です。
同じ音の常用漢字に替える例もあります。 「車輛→車両」「編輯→編集」「日蝕→日食」が挙がっています。
3. 常用漢字を使った別の言葉で言い換える
表にある字の言葉に言い換える方法です。 「軋轢→摩擦」「逼迫→切迫」「罹災→被災」が挙がっています。
もっと分かりやすい言い方にする例もあります。 「脆弱な→弱い、もろい」「漏洩する→漏らす」「安堵する→安心する、ほっとする」です。
4. 表にない字だけを仮名にするか、ふりがなを付ける
ほかに良い言い換えが無いときや、言い換えると不都合なときの方法です。 「改竄→改ざん」「牽引→けん引」のように表にない字だけを仮名にするか、漢字のままふりがなを付けます。
どの方法を選ぶかは、読み手と文書の目的で決める
4つの方法に、決まった優先の順番は書かれていません。 ただし4つ目は、「他に良い言い換えがない、又は、言い換えをしては不都合なもの」に使う方法とされています。
資料に順番が無いので、ここでは決め方の一例として、次の問いを上から当てていきます。
- ひらがなで書いても意味が通るか(通るなら1)
- 同じ読みの常用漢字で、意味がずれないか(ずれないなら2)
- 常用漢字の言葉で、言いたいことが変わらないか(変わらないなら3)
- どれも合わないか、その言葉を残す必要があるか(それなら4)
同じ言葉でも、文書の目的で答えが変わります。 資料も、3の例に挙げた語に4の方法を使ってよいと注記しています。
ふりがなを付けるときの決まり
ふりがなを付けるときは、次の3つを決めておくとそろいます。
1つ目は、付ける範囲です。 原則として、熟語のうち表にない字と読みにだけ付けます。 ただし、読み手に合わせて熟語全体に付けることもあるとされています。
2つ目は、付ける回数です。 字が出るたびに付ける必要は無く、文書全体や章ごとの初出に付けるなどの基準を決めて統一します。 見出しではなく、本文に付けるのが一般的です。
3つ目は、ふりがなが使えないときです。 機器の都合でふりがなが付けられないなら、字のあとに括弧で読みを書けます。 その場合は、熟語全体の読みを書くほうが読み取りやすいとされています。
子ども向けの文章では、常用漢字でも配慮する
常用漢字表にある字でも、読み手によっては難しい字があります。 資料は、児童・生徒や日本語を母語としない人に向けた文書の工夫を挙げています。 常用漢字の語でも、ふりがなを付けたり仮名で書いたりする方法です。
例は「語彙→語彙(ふりがな付き)、語い」「進捗→進ちょく」「若しくは→もしくは」です。
子ども向けなら、何年生で習う字かが目安になります。 学年別漢字配当表は、2020年度から1,026字を学年に割り振っています。 学年ごとの字の選び方は、漢字プリントの学年別の選び方と使い方で詳しく説明しています。
人名・地名は書き直さなくてよい
常用漢字表は、都道府県名などを除いて、固有名詞を対象にしていません。 資料も、地名は通用している書き方を使い、人名は本人の意思に基づいた書き方を使うとしています。
そのため、表にない字が人名や地名に使われていても、誤りではありません。 読みにくい名前には、必要に応じてふりがなを付けます。
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参考・出典
- 公用文作成の考え方(建議) — 文化審議会 (2026-10-22 閲覧)
- 常用漢字表(平成22年内閣告示第2号) — 文化庁 (2026-10-22 閲覧)
本記事は上記の公的機関・公式情報源を参考にしています。最新の情報は各リンク先をご確認ください。
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